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日向延岡臨海工業地区
【ひゅうがのべおかりんかいこうぎょうちく】


県北部の海岸に位置する延岡市と日向市を中心とした臨海工業地区。昭和37年5月に新産業都市建設促進法が成立したが,その前年から本県は,工業開発拠点都市としての地域指定を受けるべく日向・延岡地区が最適であることを積極的に政府に働きかけ,新産都市指定の誘致運動を行ってきた。その結果,昭和39年1月,延岡市・日向市,東臼杵(ひがしうすき)郡門川町・東郷町・北浦町・北川町・北方町・北郷村の2市5町1村からなるこの日向・延岡地区が新産都市に指定された。以来この名称が注目されるようになった。指定を受けるまでの歴史的背景をみると,延岡市は,大正12年,日本窒素の硫安工場建設が出発点となって,化学工業の町として発展,第2次大戦後これらの諸化学工場は旭化成延岡支社の各工場となって現在の工業都市となった。日向市の場合は,昭和17年,戦争目的で常時1万t級輸送船3隻が接岸可能な大築港工事を開始したが終戦とともに中止となった。戦後本県はこれを継承,特に細島港を商業港区とし,竹島と尾末湾を埋め立てて細長いドック型の工業港およびその周囲に工業用地を造成する計画を立てた。昭和27年9月に着工,埋立造成面積80万4,000坪,総工費12億7,000万円,5か年継続で開始した。こうして細島工業港と臨海工業用地を造成してきた。その後ここに昭和38年に共和製糖・東洋果糖(3区)が,同39年には鉄興社の電解二酸化マンガン工場(2区)が建設された。その間,昭和37年に県営工業用水道事業が着工,総工費13億円で同39年にその施設を完成させた。この工業用水の取水地は東郷町にあり,耳川の河川水を使用する。1日当たり12万5,000tの取水供給量であり,中之原の取水口から送水管および長いトンネルでほぼ直線状に北東方向へ約20km,日向市亀崎の配水池を経て2本の配水管で臨海工業地区へ送水されている。このように新産都市指定に先駆けて,県は昭和27年から県費33億円の先行投資を行って,特に細島臨海工業地区の造成と工業誘致を進めてきたのである。新産都市指定後は,延岡地区では既成の大工場地区を基盤にこれと関連させてさらに拡大を図り,特に旭化成と関連をもたせながら五ケ瀬川河口デルタ地帯に工場建設を計画している。日向地区では,すでに完成している工業用地に他から新しい大規模な工場を誘致して日向(細島)臨海工業地帯の完成を目指すことになった。指定後20年を経過した現在,これまで産業基盤施設および生活環境施設の整備が行われ,積極的に工業開発準備が推進されてきた。特にこの細島臨海工業地区の工場用地などの取得造成や日向市区域における港湾に関する事務を行う県機関として,県は日向延岡地区新産業都市開発局を日向市日知屋字新開に置いて,その業務を推進してきた。ところが昭和48年のオイルショックとその後の低経済成長と不況の影響を強く受けるとともに,交通条件の不備,工業用地の狭さなどの問題状況と重なって,当初予定したような大企業の大工場の立地を見ない状況が長く続いた。県はついに昭和49年に地元旭化成に造成地工業区1区と4区の大半を売却してしまった。現在その1区のほぼ中央に旭化成はウラン濃縮研究所を建設している。日向延岡臨海工業地区といってもその中心地は日向市細島工業港を取り巻く細島臨海工業地帯である。




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「角川日本地名大辞典」
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