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秋利神川
【あきりがみがわ】


大島郡天城町と徳之島町の境をなす井之川岳山系に源を発し,天城町内を西流する河川。徳之島の中部を西流する島内最長の川である。延長13km。「徳之島事情」に「数千ノ猛鰻ヲ生ジ,小魚類ヲ食シ終ニ人畜ニモ害セントスルコトアルトテ,通行人ハ此川ヲ渡ルコト憂フリシガ」と大ウナギの怪を述べ,また,秋利神川は神の通り道であり,川の石などを拾ってきてはならぬなどの禁忌もあり,地元では強い神威を感じていたようである。下流は,比高120mにも及ぶ峡谷をなし,「水勢急激ナリ。雨降ノ際ニハ通行ヲ杜絶シ,往々人畜ヲ流死スルコトアリ。故ニ山ニ雨気アルトキハ,此ノ川ヲ渉ラザルト謂フ」(徳之島事情)とあり,長い間交通の障害となっていた。この急流を利用して,大正12年に秋利神水力発電所が建設され,島にはじめて電灯をともした。出力は120kwで,島の総出力の1%にも満たないが,唯一の水力発電所として今なお稼働する。中流部の三京地区は原野の広い盆地状で,過疎化が進む。現在原子力発電の使用済核燃料の再処理工場が進出するとの情報が流れ,全島あげて反対運動が起こっている。上流の当部の東,前木野川には南部ダムがあり,改修が済めば畑地灌漑に活用される計画である。なお船田には,船などの線刻画のある謎の巨石がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7236386