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阿久根大島
【あくねおおしま】


阿久根市西部,阿久根港西方2kmの沖合にある周囲4kmの島。阿久根港との間を定期船が通い,本島と約15分で結ぶ。阿久根県立自然公園の中核をなし,120頭に及ぶ野生鹿が生息する。白砂青松,奇礁奇岩のこの島は夏のキャンプ場・海水浴場として広く知られ,年間約6万人の渡島者がある。「三国名勝図会」に「母子島,当邑海上にあり,雄島,雌島,子島の三ありて隣近す。因て併て母子島の称を得たり。其大なる者を雄島といふ。俗に大島と呼ふ。周廻一里許,松樹多し。雄島より戌亥方に一島あり雌島といふ。俗に桑島と呼ふ。蒲葵樹多し故に蒲葵島とも称ふ。雄島より子丑方に一島あり子島といふ。俗に児島とも呼ふ。又駒島とも称す。雌雄に対して子馬の義なり。亦此三島の外に元之島といへるあり。本邑の海岸に近し故に元之島の名あり。退潮の時は徒渉すへし。此母子島海上の風景佳絶にして当邑名勝の境なり」とあり,古くは雄島と呼び,桑島・子島・元之島と合わせて景勝の地として知られていた。明治24年波留村の共有地となり,昭和3年阿久根町の所有となった。昭和24年頃からキャンプなどの設営がなされ,さらに,昭和28年県立自然公園に指定され,ホテルその他の観光施設が市や交通会社によって整備された。公園の管理事務所,簡易ホテル・バンガロー・テント村・野外劇場・水飲場・シャワー・便所・発電所・売店等の施設が完備している。万治年間藩主島津光久によって放たれたという鹿が繁殖し,明治初期には数百頭に達したが,明治末期に絶滅した。現在の鹿は,大正末期に種子島の馬毛鹿に放ったものが繁殖したものである。島の中央に金刀比羅神社がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7236390