100辞書・辞典一括検索

JLogos

32

奄美大島
【あまみおおしま】


単に大島ともいう。加計呂麻島・請島・与路島も含めていうこともある。古くは海見(斉明記)・阿麻美(続記)と書いた。奄美諸島の主要。面積710km(^2)。名瀬市,大島郡笠利町・龍郷(たつごう)町・大和村・宇検村・住用(すみよう)村・瀬戸内町の一部からなる。古第三紀始新世の和野(にぎの)砂岩頁岩層,古生層の大勝頁岩層・名瀬粘板岩凝灰岩層・新村粘板岩層・大棚砂岩層・名音珪岩層がそれぞれ東から西へ帯状に分布し,局地的に花崗岩層が見られ,トラバーチンとして生産されている。最高峰は大和村と宇検村との村界に位置する湯湾岳で標高694m。海岸には裾礁が分布し,現生珊瑚が生息する。最北端の笠利崎,最南端の皆津崎,最西端の曽津高崎を頂点とするほぼ三角形の島である。北岸・西岸・南岸はリアス式海岸で,真珠貝の養殖にも利用されている。加計呂麻島との間の大島海峡は特に天然の良港となっており,第2次大戦終戦まで海軍基地として利用されていた。今日では台風時の避難港として役立っている。1月が最寒月でその月の平均気温は14.3℃である。そのため,ガジュマル・アダン・ビロウ・ヘゴ・ソテツなどの樹木やバナナ・パパイヤ・マンゴウ・パイナップルなどの熱帯果実が実る。農業が主産業で,米・サトウキビ・サツマイモの生産が主である。なかでもサトウキビは藩政時代,鹿児島藩の財源として強制栽培させられた苦い歴史をもっているが,今では島の農家の換金作物として重要である。伝統工芸の大島紬は本島の産業の中心をなし,泥染などの特殊技法による特産物である。しかし,島外への技術の流出,なかでも韓国産の紬により大きな打撃を受けている。漁業も行われるが,島内の消費に当てられる。この島には猛毒のハブが生息して島民の生活の支障となっている。国特別天然記念物のアマミノクロウサギ(徳之島と本島だけに生息する耳が小さく,後足が短いウサギ)や国天然記念物のルリカケスが生息する。鹿児島市から約380kmの距離にあり,空路・海路で結ばれ定期便が毎日ある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7236455