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宇治群島
【うじぐんとう】


川辺(かわなべ)郡笠沙町に属し,枕崎市の西80kmの東シナ海に浮かぶ向(宇治)島と家島の2島と多数の岩礁よりなる群島。前者は周囲約10km・面積1.7km(^2),最高点は清内岳の324m。後者は周囲約5km・面積0.6km(^2),最高所は南日岳の96mで,いずれも無人島。海底火山島で輝石安山岩からなり,断崖絶壁の海食崖に囲まれ,平地は少ない。江戸期から漁業基地となり,明治中期は家島を根拠地に,カツオ漁とその半加工を行っていたため,40戸ほどが季節的居住地としていた時期があった。さらに一時はサンゴ採取の基地としても利用されたが,明治28年宇治島流(うつちまながれ)と呼ぶ台風による137名の遭難や,漁船の動力化,沿岸における定置網漁,ブリ餌付漁など漁業形態が変わり,次第に立ち寄る漁船も少なくなっているが,海難事故に備えて,県は第4種漁港に指定し,20tクラスの船まで入港できる避難港を建設中である。宇治家島灯台は香港・上海・台湾および東南アジア方面から日本に往来する船舶にとって欠かせない航路の目標となっている。島の清内岳・波多江岬などの地名は昭和28年鹿児島大学学術調査団員の氏名で,このときの関係者の地名が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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