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沖秋目島
【おきあきめじま】


枇榔島ともいう。川辺(かわなべ)郡坊津(ぼうのつ)町秋目の沖合い約4kmにある島。面積約0.39km(^2)・周囲約4km,最高地点は標高146m。「三国名勝図会」に「秋目港より海上一里,西北にあり,秋目村に属す,周廻凡一里,蒲葵樹甚多し,故に名を得たり,往古は,此島を秋目島といふ,又島の辺群魚の聚る所にて,魚釣に利ありといふ,此島に戸柱大明神祠あり,祭神素盞嗚尊,稲田姫命,祭祀六月十五日…」とあり島の由来がわかる。本土の川辺郡笠沙町後藤鼻とは500mの瀬戸で隔たっており,潮流が激しい。島の北西側は急崖,南東側は緩傾斜面をなしている。大正の中期頃までは枇榔樹が多くみられたが,台風や伐採などで減少し,昭和35~36年頃で絶え,現在ではシャリンバイやハマヒサカキなどの雑木林となっている。第2次大戦前は3戸ほどあり,半農半漁の生活を営んでいたが,昭和25年頃最後の1戸が秋目へ引き揚げ無人島となった。その後,秋目や黒瀬の人々が昭和30年頃まで船で出作をしていたが,野ネズミや風害などのためこれも放棄した。当時の地目は田(1,573m(^2))・畑(24万8,392m(^2))・山林(13万5,923m(^2))・原野(2,955m(^2))・宅地(542m(^2))で総面積38万9,385m(^2)となっている。その後一部(14万5,408m(^2))を岩崎産業が買収。現在では,週末になると県内はもとより,遠く北九州あたりからも釣客が来てにぎわう。近くの秋目は鑑真和上の上陸地,幕末に藩船「昇平丸」に乗り組み活躍した宮内平蔵の誕生地でもある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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