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思勝湾
【おんがちわん】


大和浜(やまとはま)湾ともいう。大島郡大和村にある湾。奄美大島西部,焼内湾の北東に位置する。奄美群島国定公園のうち。湾口東には宮古崎,西には親川(しんご)崎(親子鼻)がある。湾の東西両岸から20m付近にはリーフが発達。湾中央の深度56m。湾奥西に大和川が流入,河口北側に大和浜,南側に思勝の集落が立地する。湾名は,明治8年以降大和浜戸長役場(現在の村役場)が思勝に置かれたことにちなみ,また別称は,慶長18年に大和浜間切の与人役所が大和浜に置かれたことにちなむ。沿岸にはほかに津名久(つなぐ)・湯湾釜(ゆわんがま)・国直(くになお)の集落が立地する。慶長14年の薩摩軍の琉球侵入に際し,「琉球渡海日々記」には,「九月十日十一日深江浦ニ逗留申十二日出船申大島ノ内ヤマトバマ申湊ニ着候」とあり,龍郷湾から当湾に停泊ののち焼内湾・西古見地域に侵入している。享保12年の南大島・徳之島・喜界島検地の際,「大島代官記」に郡奉行市来新左衛門以下の役人が「二月二十四日大和浜へ御着船ニテ,直ニ大和浜ヨリ御竿始」とあり,船で当湾から上陸し検地を始めている。「大島要文集」には23反帆船の港として,「屋喜内間切ノ内大和浜方津素久湊」(津素久の素は名の誤記)と記されている。「大島代官記」には弘化4年3月18日代官の附役が「大和浜沖ヨリ直ニ大和浜へ橋船より御着」とあり,上陸は接岸・桟橋ではなく艀を利用している。「南島誌」には「大和浜方津名久港ハ西北部ニアリテ其港口西嚮ナルモ入ルニ従テ漸ク右旋ス長サ二百七拾八町幅一町計リニシテ深サ百二拾三尋大船三十四艘ヲ繋クヘシト雖モ両片ノ距離狭ク且港口屈曲ナルヲ以テ舟ノ出入至便ト云フヘカラス」とある。現在津名久に接岸能力50tの地方港湾思勝港がある。国直海岸から宮古崎にかけての海中のサンゴ礁と熱帯魚の景観は素晴しく,奄美十景の1つに選ばれ,クロダイ等の釣場としても知られ,名瀬市街地からの釣客も多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7236959