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鹿児島湾
【かごしまわん】


錦江湾ともいう。九州本土の南端にあり,薩摩半島と大隅半島に囲まれる。長さ80km・幅20km・面積1,130km(^2)・容積115km(^3)。北部,南部はそれぞれ姶良(あいら)カルデラ,指宿(いぶすき)カルデラと呼ばれる巨大カルデラの陥没部に当たり,両者をつなぐ中央部は両側を北北西から南南東に走る断層によって陥没した地溝に相当する。そのため平面形は,緩く延びたS字型を示している。湾は海底地形によって湾口部(指宿市知林島・肝属(きもつき)郡大根占(おおねじめ)町野崎鼻以南),湾央部(鹿児島・桜島以南),湾奥部の3海域に分けることができる。湾口部は中央部分でも80~100mの深度にすぎないが,湾央部は水深200m前後の平坦な海底をもつ舟状海盆で,最深235mに達する。湾口・湾央の両海域には沿岸に水深20m以浅の平坦面が付着しているが,湾奥部にはこれが存在せず,全域にわたって水深100m以上となり,カルデラの性質をよく示している。湾奥部では海底からガスが噴出することが古くから知られていたが,昭和52年,潜水艇「はくよう」の調査によって実態が明らかになった。これによると数百といわれる噴気孔の群が存在し,明らかに海底の火山活動であるという。当湾は生物,特に魚類の宝庫といわれ,浅海魚から深海魚まで種類は400を超えるという。桜島西部の大正溶岩の海岸から神瀬・沖小島にかけては鹿児島大学水産学部を中心として調査も進み,学術的にも価値ある優れた生物相を備えていることが確認された。現在,霧島屋久国立公園の一部として,錦江湾海中公園を形成している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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