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川辺盆地
【かわなべぼんち】


川辺(かわなべ)郡川辺町を中心とした,周囲を薩南山地の支脈に囲まれた盆地。東西16.6km・南北18.8km・面積127.5km(^2)。東を知覧町,西を加世田市,北を鹿児島市および日置(ひおき)郡金峰(きんぽう)町,南を枕崎市に接している。山地は北および北東,南からそれぞれ中央部に向かって次第に低下し,その山脚に沿って標高100mほどの鳴野原・藤野原・君野原・大戸原などのシラス台地があり,急崖を隔てて標高48mほどの沖積低地となっている。東北部の山地は中生層からなる,熊ケ岳・鎌塚山など,西南部の山地は安山岩類からなる下山岳・新地山などの高山がある。東北部の山間に源を発した広瀬川は錫山川・長谷川と合し,瀬戸山川・火の河原川などを集め,次第に川幅を広くし両添で野崎川を加え南下,さらに神殿川・麓川・永里川と合流,約800haの水田を潤し,さらに西流し加世田市へ至り万之瀬川となり東シナ海に注ぐ。南部の山間に源を発した大谷川は松薗川と合し,東流して約190haの水田を潤し,途中大戸原にさえぎられ,西に向かい加世田市で万之瀬川に合流する。川辺町は総面積の62%(80.1km(^2))が森林,18%(23km(^2))が畑地,9.3%(11km(^2))が水田となっており,水田の少ない南薩にあっては万之瀬川下流地方とともに主要な米の生産地である。就業人口の約47%が農業人口で,経営の中心は畜産・水稲で,以下茶・タバコ・甘藷・露地野菜と続く。明治41年以降造林された町有林は4km(^2)にも及ぶみごとなものである。万之瀬川から鹿児島市の水の不足分7.5万t(飲料水5.5万t,工業用水2万t)を取水する予定である。昭和40年には南薩鉄道知覧線が廃止され,また枕崎・鹿児島を結ぶ国道225号が通過。市街地から北東4km清水岩屋に南九州では最大規模の磨崖仏群がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7237206