100辞書・辞典一括検索

JLogos

43

種子島
【たねがしま】


鹿児島市から約120kmのところにある島。大隅諸島のうち。西之表市,熊毛郡中種子町・南種子町からなる。面積446km(^2)。古くは,多褹・多禰とも書いた。「続日本紀」に「天平5年多褹島,熊毛郡大領,安志託等十一人,賜多褹後国造姓」,建久8年の図田帳に「多禰島五百町,保延年中以後新府不随国務」とある。南種子町茎永にある「宝満宮由緒紀」によると「イザナギノ命とイザナミノ命がこの島に降りて始めて稲のタネを蒔かれた」とあり,これがもとになって種子島というようになったともいわれている。また,アイヌ語の「長い」という語の「タンネ」という語が訛ったものともいわれる。最北端の喜志鹿崎から最南端の門倉崎まで約57km,中種子町野間で幅約6kmという細長い島である。気象庁の種子島レーダー観測所のある中種子町十三番付近の282mが最高地点となっている低平な島で,海岸段丘がよく発達し数段に及ぶ。河川はいずれも短小である。東岸は磯が多く,西岸と南岸には長浜や前之浜のような大規模な砂浜海岸が発達している。砂浜海岸には背後に砂丘も見られ,砂鉄が分布した。砂鉄は古くから利用されたらしく島内にたたら跡が数か所確認されている。昭和27年から48年にかけては企業による採掘が島内各地の砂浜海岸で行われ,約100万tが主として八幡製鉄所に送られた。本島の砂鉄はチタンの含有量が多いことが特色である。なお,砂浜海岸や砂丘地にはジューンロックが見られる。地質は古第三紀始新世の熊毛層群を基盤に,新第三紀中新世,同じく鮮新世~更新世の上中層からなる。また,北西~南東の4本の断層線によって国上丘陵・石峯丘陵・野間台地・坂井台地・長谷野台地に区切られている。茎永層にはケスタ地形・ハニーコームなどの地形が見られる。本島には黒潮がぶつかるので,天文12年のポルトガル人,明治18年のカシミヤ号など遭難船の漂着地でもある。さらに本島は移住者の受け入れ地でもある。甑島・桜島・与論島・沖永良部島などからの移住者が多かった。産業は農業が主で,サトウキビ・サツマイモ・タバコ・落花生・ポンカン・タンカン・水稲・キヌサヤエンドウなどが栽培される。漁業は沿岸漁業が主で,トビウオ・トコブシ・イセエビ・イカなどの水揚げがある。鹿児島市からの船・飛行機の定期便が毎日ある。熊野海岸・千座(ちくら)の岩屋・門倉崎・宇宙センターなどの観光地があり,観光客も増加しつつある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7238213