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吐噶喇列島
【とかられっとう】


鹿児島郡十島(としま)村に属する列島。鹿児島県本土と沖縄との間に弧状に連なる薩南諸島の中央,北緯29~30°,東経129~130°にわたって北東から南西へ連なる。面積87.54km(^2)。柳田国男のいう,古代南洋文化が北上した「海上の道」に当たり,太平洋と東シナ海が交差する七島灘に北から口之島・臥蛇(がじや)島・小臥蛇島・中之島・平島(たいらじま)・諏訪之瀬島・悪石島・小島・小宝島・宝島・上ノ根島・横当(よこあて)島の12島が飛び石のように連なっている。上記12島のうち臥蛇島・小臥蛇島・小島・上ノ根島・横当島の5つは無人島。臥蛇島と平島は西部の旧期火山帯に,その他は新期火山帯に属し,口之島・中之島・諏訪之瀬島には活火山がある。特に諏訪之瀬島の御岳は活動が激しく,噴火のため何回か集落が全滅した。文化10年と大正3年のものが記録に残っている。温泉も湧出するが利用しているのは中之島と小宝島のみである。宝島と小宝島にはサンゴ礁が発達している。気候は中之島で年平均21.0℃,最寒月の1月で13.4℃の亜熱帯性であり,年降水量は3,000mm内外,平地には降霜もほとんどみられない。吐噶喇の由来については,往時列島の母島として栄えた宝島をトカラと呼びならわしていたことに由来するとの説や「地理纂考」に「往古七島の総名を吐火羅と云えり」とあり,火山に由来するとの説などがある。川辺十島のうち,上三島は昭和27年2月10日,日本復帰の折三島村と改称し,下七島は従来の名を踏襲して今日に至っている。人口は昭和27年3,394人を数えたが,復帰後流出が始まり,昭和55年10月現在903人である。村役場は各島間の交通不便のため鹿児島市にある。離島性の強い吐噶喇列島は,面積も狭く,人口も少なく,各島間の交通手段にも恵まれず,いわゆる微小離島の典型である。最初は,第三十島丸(497t)が月5回就航し,諏訪之瀬島と小宝島以外の有人島には接岸港ができ,便利になった。空港は諏訪之瀬島に内外航空が観光用の不定期便を開設している。産業は第1次産業が中心であるが振るわず,畜産や水産業に将来を託している。口之島は天然記念物タモトユリの産地として,また和牛の原種といわれる野生牛の島として脚光を浴びてきた。また,中之島には日本馬の元祖トカラ馬(往時は宝島にて飼育)が飼育されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7238379