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吹上浜
【ふきあげはま】


薩摩半島の西岸,北は串木野市羽島崎から南は加世田市網場まで7市町に及ぶ約47kmの海岸。東シナ海に臨む。当海岸には北から江口川・神之川・大川・永吉川・伊作川・万之瀬川などの河川が注いでいる。この河川が後背地の山地やシラス台地を浸食して運搬した土砂は北西の季節風によって飛砂となって堆積し,幅500~1,000m・高さ50m内外の砂丘を形成している。日本三大砂丘の1つに数えられ,昭和3年県立自然公園に指定される。「地理纂考」に「烈風吹コトニ白砂空ニ捲キ海浜ニ堆積シテ山ヲナシ」と記載され,海風が浜辺に白砂を吹き上げる地からこの名があるという。日置(ひおき)郡吹上町の砂丘には,薩摩湖や亀原池などの砂丘湖があり,観光地となっている。砂丘地も今は見事な松林をなす。安政元年,同郡金峰(きんぽう)町の宮内善左衛門が私費300貫を投じて防砂林の事業を手がけたのが松林のはじまりとされる。塩屋堀の高台には,彼の功績をたたえる東郷元帥の碑文がある。白砂青松の景勝地には,3つの国民宿舎があり,また国営の野営場としてキャンプ場も設置されている。砂丘地の開発利用も近年盛んになり,スイカ・ピーマン・ラッキョウなどが栽培される。浜の名物の地引網は今ではすたれた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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