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麓川
【ふもとがわ】


川辺(かわなべ)郡知覧町北部を貫流する町内最大の河川。延長約14km。源を白岳(町北東部にある町内一の高山,標高596m)に発して西流し,麓を大きく曲流しながら下郡に至り,阿多溶結凝灰岩の甌穴や滝のみられる川辺町境の蟹ケ地獄で厚地川と合し,川辺町宮で広瀬川(万之瀬川の中流)に合流する。麓川流域のシラス台地の崖下には豊富な湧水(町の上水道源の思川・西郷殿新田井川,オメコ川・御手洗園井川)があり,古くから灌漑水・飲料水に利用されていた。早くも室町期には上木場20町,江戸期53町余水田が開けている。「鹿児島県維新前土木史」によると「安永九年の築造にして,大字郡字山下に於て麓川に堰堤を築き二十町余歩を灌漑す,藩の起業に係る」とあり,古くから堰や用水路が築造され水田が開かれていたことを物語っている。麓には藩政時代にできた武家屋敷群が現在でもみごとなたたずまいを残しており,薩摩の小京都といわれている。市街地南部,木佐貫原の第2次大戦末期にできた特攻基地跡とともに訪れる観光客も多い。下郡には豊玉姫神社がある。永久橋付近の河岸にはサクラ・モミジが植えられ,春秋ともに風情がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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