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山野川
【やまのがわ】


大口市北部を流れる河川。国見山脈から南西に流れ出る数本の川の中では最北に位置する。国見山の山頂近くを源流とし,深い峡谷を蛇行して流れ下り,布計(ふけ)・木地山の寒村を経て,下流では石井川内の谷底平野を流れ,山野の市街地の北端を通って羽月川に合流する。この流域の谷は水俣へ通ずる径路の1つで,国鉄山野線(昭和12年大口~水俣間開通)は山野川の流路に沿って布計まで登り,トンネルで県境を抜け,久木野を経て水俣へ達する。しかし鹿児島藩時代肥後水俣への表の往還は小川内関所を通る径路であり,山野川の山道は間道であり,石井川内には抜け馬を取り締まる辺路番所があった。今その地を示す標柱が立っている。ただし現在の水俣への自動車道(国道268号)は県境山木場を越える。いずれも冬の積雪が多く,通行止めになることが多い。布計の金鉱の本格的な開発は昭和8年鯛生産業株式会社の操業にはじまる。その後,折々の盛衰があったが現在廃坑になっている。かつて活気にみちた山奥の鉱山集落も過疎化がすすみ,今は静かな山村にもどり,道路の荒廃も激しい。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7239423