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アウ離島
【あうばなりじま】


西表(いりおもて)島北東海岸の野原崎の北東海上約150mにある無人島。八重山諸島の1島。竹富(たけとみ)町高那に属す。面積0.04km(^2)・周囲0.93km・最高標高17m。方言では単にアウと呼ばれることもあるが,竹富町古見(こみ)ではアウジマ,西表島西部ではアウシマと呼び,また新城(あらぐすく)島から見ると横たえた三味線の形に見えるため,島の人はサンシンヤマと呼んでいる。昭和56年版の地形図などではウ離島と見えるが,古い記録では「青離」と見え,後世「ア」が脱落したものか。地名の由来については,方言で対になることをアウということから,西表島と向かい合っていることにちなむともいう。沖縄本島や久米島などの周辺離島に見られる奥武(おう)(あるいはアウ)という地名は,「青」を語源とし,他界を意味するといわれる(仲松弥秀:古層の村)。アウ離島も,大きな島のすぐ傍らに位置する無人の小島という点で,奥武地名と共通する。ただし,他の奥武島の多くは墓地であるが,アウ離島に墓があるかは調査不充分である。西表島の中でもこの一帯は古生層からなり,岩の色がほかの場所と異なっているため,北岸の中央部にある赤離(あかばなり)島と対にして青離島と呼んだという可能性もある。竹富島や古見の人が畑として最近まで利用し,ヤギも放し飼いしていたが,現在では放棄されて草原となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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