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阿嘉の鬚水
【あかのひげみず】


久米島北東部,仲里村阿嘉にある滝。方言ではアカヌヒジミジといい,上行瀑(じようこうばく)(琉球国志略)ともいう。村名勝。下阿嘉集落の西方に位置し,丘陵を流れる小流が,高さおよそ90mの断崖の岩頭から落下するとき,北風に吹き上げられ白煙となって霧散する。その水煙があたかも豊かな白鬚が風に揺れるのに似ていることから,ひげ水と名付けられた。水量も多く,北風の強い日が最も壮観である。乾隆21年(1756)来琉した冊封副使周煌は「上行瀑,姑米山安嘉村に在り。凡そ瀑は,皆,懸流して順瀉す,惟だ此の瀑のみ,下よりして上る,山背を盤踰して,乃ち旁溢四注す」と記している(琉球国志略)。久米阿嘉節には「阿嘉のひげ水や上にかへど吹きゆるかまど小が肝やのぼりくだり(阿嘉のひげ水は,上にしか吹いていないのに,カマドグヮ〈娘の名〉の心は上ったり下ったり)」(琉歌全集879)と不安定な乙女心が謡われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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