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雨乞い淀
【あまごいよど】


西表(いりおもて)島西部を流れる仲良川上流にある淀。竹富(たけとみ)町西表に所在。方言ではアマグイユドゥという。昔,宮古島の首長仲宗根豊見親の命令で西表島から材木を切り出すことになり,西表の農民たちは仲良川の奥へ駆り出された。苦心惨憺して仲良川の支流のナーミチ川に材木を集め,これを流し出すために雨乞をした淀がこのアマグイユドゥである。3日間の雨乞のあとようやく大雨が降ったところへ豊見親が死んだという知らせが届いた。人々は狂喜し,集めた材木をすべて投げ捨て,アヨウという古謡を謡いながら舟をこいで村に帰っていった。材木を捨てたところをトゥイミャーパラ(豊見親柱)という。「慶来慶田城由来記」には「とよめや柱川原」とある(南島1)。アヨウを謡った谷間はアユバン(アヨウの谷)といわれている。西表の人々はのちのちまで雨乞の儀式にはこの雨乞い淀に潜り,沈んでいる材木を切り取って神に捧げたという(西表島の民俗)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7239682