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伊是名島
【いぜなじま】


沖縄本島北部の本部(もとぶ)半島の北方海上約23kmに位置する島。伊是名村の主島で村全面積の約90%を占める。村役場の位置はおよそ北緯26°56′,東経127°57′。同村を構成する屋ノ下・屋那覇(やなは)・降神・具志川の4島および伊平屋(いへや)村を構成する伊平屋・野甫両島とともにナナハナリ(7離島の意)と呼ばれ,あるいは伊平屋島と総称されることもあり,「当時用候表」には「絵図帳ニ伊是那島恵平屋島と二様ニ相立候得共当時ハ伊是那島も惣名ハ伊平(屋)島と唱申候」と記されている。「おもろさうし」には「いぢへな」「いぢゑな」「ゑひやにせ」とあり,「海東諸国紀」の琉球国之図には伊是那と見える。周辺の諸島を,「バジル・ホール探検記」ではモントゴメリー群島(Montgomery's Groupe),「ペリー訪問記」ではモントゴメリー諸島(Montgomery Islands)と呼ぶ。大正12年発行の地形図には伊是名島が伊平屋前島,伊平屋島が伊平屋後島と見える。事実,地元では伊平屋村のクシヂ(後地)に対し,メーヂ(前地)とも呼ばれる。島名はイシナゴすなわち砂礫を意味するといわれている。面積13.84km(^2)・周囲17.0km,最高標高は大野山で119.9m。島の中央部を北から大野山・天城・アーガ山・チジン山・城山など標高100m内外の低い山地が連なり,島を東西に二分している。山地周辺には標高60~40m,20~5m,5m以下の3つの段丘が区別できるが,全般に低平な地形である。地質は砂岩・頁岩互層,レンズ状石灰岩,それに層状チャートの伊是名層,礫質砂岩,砂岩・頁岩互層の諸見層,そして第四系の砂礫および隆起海浜堆積物からなる。伊是名層は層厚1,000m以上,諸見層は1,300m以上である。両層とも地質時代の判定に有効な化石はなく,年代が不明であったが,最近伊是名層のチャート中からコノドントという微化石が検出されたことからみて,中生代ジュラ紀(約1億9,000万年前)と考えられる。農業を主体とする島で,低地はほとんどが耕地化され,うち大部分は畑地でサトウキビが栽培されている。島内には仲田・諸見・内花・勢理客(せりきやく)・伊是名の5字があり,同名の5集落がいずれも海岸に立地する。勢理客・伊是名には漁港があり,仲田の仲田港には本部半島本部港(本部町)との間に定期船が毎日就航している。所要時間1時間30分で,総旅客数の約6割を観光客が占める。島内には尚円王(1470~76在位)にまつわる旧跡が多く,伊是名玉御殿(県史跡・県文化財)・尚円王生誕地屋敷跡などがあり,ほかに伊是名城跡・銘苅殿内がある。南部海岸には中生層が浸食されてできた尖塔状の海ギタラ・陸ギタラがあり,景観が美しい。また陸ギタラには展望台があり,遠く伊江島や沖縄本島を望む。なお,昭和32年島の内陸部で発見されたイネ科のイゼナガヤはオーストラリアに多い種で,生物地理学上注目されるものであり,昭和57年11月に村天然記念物に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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