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ウダラ川
【うだらがわ】


西表(いりおもて)島南西部を流れる河川。方言ではウダラカーラという。「八重山語彙」には「ウタラ・ガーラ,船浮と網取との間を流るる川」と見えるが,これはウダラの誤りであろう。また昭和58年版の河川管内図にはウラダ川と見える。竹富(たけとみ)町崎山の北東部を西側のアヤンダ川と並行して北に流れて網取湾に注ぐ。河口付近にはマングローブ帯が発達する。河口右岸の海岸沿いには旧網取村の水田跡が広がり,この水田地帯もウダラと呼ばれていた。上流1kmほどまでは舟でさかのぼることができる。昔この川沿いに崎山や網取から旧鹿川(かのかわ)村へ向かう旧道がつけられていた。南と東からの2本の支流が合わさるところをウファラシュクといい,南に続く上流部はウファラシュクカーラと名前を変える。ただし現在ではウバラシュクと発音されることが多い。ウファラシュクは河原がやや広くなっており,近世の人頭税が課せられていた時代には見回りの役人を乗せた駕籠の休み場所であった。鹿川に伝わる「大原越地節」は,このウファラシュクを越えて来る役人の駕籠を迎える歌謡で,ウファラとは役人に対する敬称,シュクは休み所を意味すると伝えられる。「大原越地節」には鹿川村へ越える道の途中にユサバザという峠を越えて行くと謡われているが,網取や鹿川の人々はこの峠をユサザと呼んでおり,「大原越地節」を謡う時にもユサバザでなくユサザと謡ってきた(八重山島歌節寄5/歌謡大成Ⅳ)。ただし,「八重山嶋由来記」には,よすはさ川原の名が見えているから(竹原家文書),ユサバザという地名が全く間違っているとも言い切れない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7239928