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内離島
【うちばなりじま】


西表(いりおもて)島西海岸,竹富(たけとみ)町西表の白浜港の西方海上約600mに位置する無人島。八重山諸島の1島。竹富町西表に属す。方言ではウチパナリという。面積2.16km(^2)・周囲8.35km・最高標高194.1m。全島が山がちで,雑木に覆われている。地名は内側にある離れ島という意味で,外離(ほかばなり)島と対になっている。祖納(そない)集落では内離島をナーレーと呼ぶこともあるが,これは雍正7年(1729)に元成屋(もとなりや)崎から内離島に移転した旧成屋(なりや)村の名前に由来する。島の南端の南風坂(はいさか)を方言でマイザシというが,ここは沖縄戦前に西表島が炭坑で栄えた頃に非常な繁栄を見せた集落で,西表島初の郵便局もここに建てられていた。強制的労働に従事した坑夫たちによって,内離島は戦前の一時期には1km(^2)当たり480人という八重山諸島中で最大の人口密度を記録したこともある(南島風土記)。旧成屋村の周辺にはナーレータおよびマイダと呼ばれる水田が作られていた。雍正6年にリュウキュウイノシシが内離・外離両島から駆逐されて以来,この2島は祖納村の最も重要な畑作地帯となり,沖縄戦の直前まで耕作されていた。「西表口説」では,内離島・外離島を「はなりばなり」と称し,西表島から船が往来する様子を謡っている(口説歌謡6/歌謡大成Ⅳ)。現在は名古屋鉄道の資本による牛の放牧場が作られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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