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億首川
【おくくびがわ】


沖縄本島北部,恩納(おんな)岳に連なるブート岳と一つ岳に源を発し,金武(きん)町東部を南東に流れて太平洋に注ぐ2級河川。方言ではウククビガーラという。河川延長7.2km・流域面積13km(^2)。名称は川が貫流する小字ごとに呼び方が違い,通例は流路にあたるそれぞれの小字名を冠して呼ばれているが,たまたま国道239号が金武町金武の億首を通っているために,億首川の名称が世人に知られ,川全体の名称にもなったものである。河口の小字福花原では福花川といい,「中山伝信録」には富蔵(ふつか)河と見える。福花原は太平洋に面した漁港で,常時数艘の漁船が停泊し,暴風時には数十艘が避難してくることもある。正徳5年(1510)頃日秀上人が漂着した所といわれ,「中山伝信録」にも「二百年前に日秀上人あり。海に泛て此に到る。時に年大いに豊かなり。民謡に云く神人来る富蔵水清し。神人遊ふ白沙米に化す」とある。小字比嘉原では比嘉原川,小字喜瀬武原では喜瀬武原川という。一つ岳からは支流幸地川が流れ,億首川中流にある金武ダムに注ぐ。金武ダムは,河口から1.5kmの所に堤防が築かれており,アースダムで,堤高12.8m・湛水面積26km(^2)・総貯水量82万m(^3)・有効貯水量66万m(^3)。ダム湖の地域はもと苗代の美田で金武の苗代の半分以上を占めていたが,昭和34年米軍に接収されてダムが建設された。その際,幸地川下流付近もダム下に没した。同47年の復帰の際,管理が米軍から県企業局に移った。このダムは集水面積は広いが堤防が低いため貯水量が少ないので,堤防を高くし,貯水量を倍にする予定である。なお,金武ダムは地形図には幸地ダムと見える。金武町には全身が鉄でできた男ギミンノヘイカの伝説があり,億首の地名は,慶長14年島津侵入の際にギミンノヘイカがこの地の要害で敵を迎え討ち,敵の首を数億も切り落としたことにちなむという(金武町誌)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240124