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親川
【おやかわ】


沖縄本島南部,与那原(よなばる)町与那原にある井泉。方言ではウェーガーという。町の中心街の一画に位置し,コンクリートで囲われた拝所であるが,周辺はデイゴの古樹に囲まれ小公園となっている。「由来記」の与那原村の項にはオヤガワと見え,御殿山に降りた天女の子の産井として用いたものという。「球陽」に「大里郡与那原の西に一井泉有りて……御井と曰ふ」と見える井泉はこの井泉に比定され,乾隆7年(1742)天女が姿を現わしたという(尚敬王30年条)。かつては水量も豊富で,琉球王家の崇拝するところで,元旦の若水もここからくんだといわれる。聞得大君の御新下りの道程では,首里出発後の最初の拝所であり,ここの水で身を清めたという。民間の東御廻りの際にも拝所の1つとされ,現在でも訪れる人が多い。琉歌の与那原節に「与那原の親川にあまりしやる乙女やがて弥勒代の近くなたさ(与那原の親川に天女が降りたとさ。やがて豊年が近く来るという吉祥だよこれは,お祝いしよう)」とも謡われている(琉歌全集753)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240155