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漢那福地川
【かんなふくじがわ】


沖縄本島北部東海岸の宜野座(ぎのざ)村漢那を流れる河川。河川延長4.65km・流域面積9.0km(^2)。河口から4.10kmは2級河川に指定されている。国頭(くにがみ)山地の漢那岳およびティーチ岳の南麓に源を発し,段丘上を南流して太平洋に注ぐ。流域は東海岸特有の海岸段丘(基岩は中生代白亜紀の嘉陽層に属する砂岩・粘板岩・千枚岩)で,標高60mから下流は緩やかに流れ,河口は狭い入江となり,両岸には琉球石灰岩層があってそこには急崖をなす石灰岩堤がみられる。河口をンナトゥ(港)と呼び,山原(やんばる)船の停泊地として近世から第2次大戦前までよく利用された。河口から約1kmの地点にはタムンジャーと称される薪や材木の集積場があり,ここから伝馬船が物資を河口の山原船に運んだのである。さらに約2km上流にはチャーシキ(茶敷)と称される低地があり,琉球ではじめて茶の栽培を行った場所と伝える。天啓7年(1627)金武王子朝貞が薩摩国から茶種を持ち帰り,漢那邑に植え,以後,茶栽培が始まったという(向姓大宗家譜/那覇市史資料1‐5)。現在は原野となり,その痕跡は認められない。流域は沖積土を利用した水田が開け,漢那有数の水田地帯で漢那福地と称されていた。現在,沖縄開発庁によって河口から約1km上流に漢那ダムの建設が進められており,昭和63年度には総貯水量820万m(^3)の多目的ダムの完成が予定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240305