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玉泉洞
【ぎょくせんどう】


沖縄本島南部の玉城(たまぐすく)村前川小字宇和川原に開口する鍾乳洞。古くは宇和川濠といい,方言でウワーガーガマと称された。洞穴名は玉城村の「玉」と「泉」から命名された。小字宇和川原と具志頭(ぐしかみ)村新城(あらぐすく)小字ガンリー原一帯は厚さ10~100mの琉球石灰岩からなる台地で,この中央部を雄樋川が伏流となって貫流している。玉泉洞は雄樋川沿いに点在する雄樋川洞穴系(ケイブシステム)と呼ばれる大小31の洞穴の中核をなすもので,その存在は洞穴から流れ出る多量の水流ゆえに古くから知られ,長い間農業用水として使われてきた。昭和38年から愛媛大学学術探険部の琉球列島洞穴学術探険隊が継続的に調査を行い,同42年3月に第4次調査隊によって奥部が発見された。発見当初は玉城洞と称したが,開発に先立って同45年玉泉洞と改称,同47年にケーブランド観光(同52年に玉泉洞観光に社名変更)により観光開発が始まり,一般公開が開始された。昭和51年には玉泉洞の奥に全長1,600mに及ぶ新洞が発見され,同56年までの調査結果では,新洞を含めた全長は約5,000m,1,600mの主洞に8本の支洞が横に枝分かれしている。天井は最も高いところで25mあり,30種以上の90万本を超える鍾乳石がある。この中にはサンゴ礁からなる沖縄の鍾乳洞独特の洞穴サンゴ・ヘリクタイト・ヘリグマイトなどや,地下川洞穴特有の泥筍がある。一般公開されているのは主洞のうちの800mで,石筍・つらら石・リムストーン・カーテンなど日本を代表する鍾乳石や沖縄独特の鍾乳石が見られ,白銀のオーロラ・黄金の盃・槍天井・昇竜の鐘と銀柱などといった名がつけられている。また洞穴内には30種以上の特殊な生物が生息している。玉泉洞の周辺には玉泉ハブ公園・遺跡公園があって洞穴を活かした自然公園として整備されており,沖縄本島南部の観光のポイントとして年間80万人以上の観光客を集めている。なお県内にはほかに石垣島のマリヤイザー,南大東島の星野の穴,北大東島の北泉洞をはじめ数多くの鍾乳洞の存在が知られるが,未調査のものも多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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