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金武湾
【きんわん】


沖縄本島北部,金武岬と勝連(かつれん)半島との間にある湾。「バジル・ホール探検記」「ペリー訪問記」ではバロウ湾(Barrow Bay)と見える。沿岸に金武町・石川市・具志川市・与那城町がある。勝連半島の先に藪地島・浜比嘉島・平安座(へんざ)島・宮城(みやぎ)島・伊計島などが浮かぶ。金武湾周辺の各集落の前の浜は,王府時代から昭和初期まで帆船が常時2~5艘停泊し,砂糖・薪や竹萱を出荷した。冬は季節風の冷たい北東風が金武岬に遮られるため,魚が金武湾に集まり,昭和45年頃までは毎日数十艘の釣舟が浮かんでいた。昭和43年にガルフ社が平安座島へ進出し,同46年に屋慶名から平安座島まで4.75kmの海中道路が完成,平安座島と宮城島の間は同50年に約64万坪の埋立てが竣工した。さらに同57年には宮城島と伊計島を結ぶ伊計大橋が完成して3島が結ばれた。平安座島と埋立地には26基の石油貯蔵タンク(10万kℓ)が建設された。昭和40年琉球政府により与勝海上政府立公園に指定されたが,CTS(石油備蓄基地)計画のため取り消された。地元住民の間ではCTS反対運動が高まり,同48年金武湾を守る会を結成し,抵抗を続けている。海中道路の建設や埋立てのため,潮の流れがとまり,また陸上の開発で赤土の汚染もあって,現在では魚が激減し,釣舟もあまり見られない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240422