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クイラ川
【くいらがわ】


西表(いりおもて)島南西部を流れる河川。方言では潮の干満の影響を受ける下流域をクイラミナトゥといい,上流域をクイラカーラと呼ぶ。河川延長10.68km・流域面積18.21km(^2)で,西表島では浦内川・仲間川に次いで3番目に大きい。河口から4.2kmは2級河川の指定を受けている。竹富(たけとみ)町西表南部に源を発して北西流し,舟浮湾に注ぐ。河口の川幅は500mもあり,広大なマングローブ帯を擁している。約4km上流までは舟でさかのぼることができ,上流の船着場から西表島南岸の海辺までは尾根1つで隔てられ,水平距離にして500mに満たない。「クイ」は越えるの意,「ラ」は西表島の河川に多い語尾で,河川名は西表島西部の祖納(そない)・干立(ほしたて)集落の人々が島の南岸に出て旧鹿川(かのかわ)村や旧南風見(はいみ)村に至る時にこの川の水運を利用して山を越えたところから命名されたものと思われる。越良川の字をあてることもある。「八重山嶋由来記」には久江良川原と記されている(竹原家文書)。河口部右岸からヒドリ川が流入する。右岸にはクイラ・ウチキダなどの旧網取村の水田があったが現在は放棄されている。クイラ川と西表島南岸との間の丘陵地には沖縄戦前まで祖納の牧場があって,ウブヌ・トゥムゾー・ウフガチ・タカなどの牧場地名が残っている。またこの川はイノシシ獲りの猟師が南風岸(はいきし)岳付近へ出かけるときのルートでもあった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240423