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国場川
【こくばがわ】


沖縄本島南部を西流し那覇(なは)港那覇埠頭に注ぐ河川。河川延長11.25km・流域面積43.06km(^2),下流から9.1kmは2級河川の指定区間。上流部は3支流に分かれ,与那原(よなばる)町と西原町の境をなす運玉森(うんたまむい)一帯を源流とする安里又川と,与那原町板良敷(いたらしき)の丘陵地を水源とする宮平川,および大里村古堅(ふるげん)に端を発して南風原(はえばる)町宮平で宮平川に注ぐ手登根川の3河川からなる。安里又川と宮平川は南風原町兼城(かねぐすく)で合流して国場川となり,国道329号とほぼ並行して那覇市真地(まあじ)・上間・仲井真を蛇行し,那覇市国場・古波蔵(こはぐら)4丁目と豊見城(とみぐすく)村嘉数・真玉橋(まだんばし)の境界となっている。この付近で豊見城村内の長堂川・饒波(のは)川などの支流を合わせる。流域はクチャと呼ばれる島尻泥岩土壌地帯で,養分含量も多く,保水力も高いため,近郊農業地域として蔬菜栽培が行われているが,近年都市化による宅地造成が進んでいる。急激な宅地化の進行に対し,下水道や河川堤防が不整備のままで,豪雨の際はしばしば浸水を招く。また,昭和45年11月には真玉橋付近で大量のテラピアが死んで川面に浮く事件が起きた。流域にある白蟻駆除資材集積所の火災で地下に浸透したダイアジノンが国場川に流出して起きたもので,こののち工場排水や豚舎からの汚水,一般家庭の生活排水などで国場川の水質汚濁が進んでいることが問題視されるようになり,河川環境浄化が推進されはじめている。かつて国場川下流域は漫湖と称され,面積も広く那覇港湾の一部であったが,現在は漫湖の那覇市側はほとんど埋め立てられ,工業用地・住宅地・学校敷地・漫湖公園などに利用されて昔日の面影はまったくない。豊見城村側の干潟は渡り鳥などの野鳥の飛来地で,野鳥観察の場所として知られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240568