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コマカ島
【こまかじま】


沖縄本島南部,知念村久手堅(くでけん)の海岸の東方2.8kmの沖合いに位置する無人島。方言ではフマカーという。「おもろさうし」では「こまか」と見え,「ペリー訪問記」でタートル(Turtle Island)と記すのに当たるか。面積0.03km(^2)・周囲0.67km。知念半島と久高(くだか)島との中間に位置し,琉球石灰岩からなり,3分の2が砂浜になっている。コマカ島の近海では,古くは,ジュゴンや海亀の捕獲がよく行われていた。「おもろさうし」巻11-95,No.650では一こまかのみおに(こまか島の澪に) おれ みもん(それ,見事だ)又くたかのみおに(久高島の澪に)又さんあみ むすひおろちへ(儒艮網を結び下ろして)又かめあみ むすひおろちへ(亀網を結び下ろして)又さん ひやく こめて(儒艮を百込めて)又かめ ひやく こめて(亀を百込めて)又さん ひやく とりやり(儒艮を百取って)又かめ ひやく とりやり(亀を百取って)又おきなます せゝと(沖魚垣にせせと)又へたなます せゝと(辺魚垣にせせと)又てかち ゑらて のせて(手楫を選んで乗せて)又おきはいたての いそいて(沖栄建てという船が競って)又ひせはいたての いそいて(干瀬栄建てという船が競って)とあり,コマカ島や久高島の澪での勇壮なジュゴン捕獲の様子を謡っている。コマカ島の澪はフマカグチといって潮流の激しいところである。また,ジュゴン捕獲の禁忌を謡ったオモロとして,巻9-30,No.505に「亀 捕てる/ 捕てるてやば/捕らんてゝ/知らんてゝ 知られゝ(亀を捕えたか,儒艮を捕えたかといったら,捕らないといって知らないといって申しあげよ)」とある。ジュゴンは国王に献上された聖魚であったのだろう。第2次大戦前まではジュゴンがよく捕獲されていたという。戦前は,久手堅から住民が渡島して耕作していた。コマカ島は,セグロアジサシの産卵地であるが,最近は激減している。昭和47年久手堅の待垣泊に開設された知念海洋レジャーセンターと,コマカ島のビーチの間をつなぐモーターボートを利用して,観光客が訪れる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240595