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崎山湾
【さきやまわん】


西表(いりおもて)島南西海岸にある湾。方言ではサキャヌトゥマリという。湾内に発達したサンゴ礁は北西の沖合い約2kmまでのびている。湾の奥のほぼ正方形をした入江には川の砂が堆積した砂地が広がっており,この入江の南西の斜面に竹富(たけとみ)町崎山の旧崎山村の跡がある。旧崎山村の南東に流れ込む小川はパイタカーラといい,湾の東の隅に流れ込むマングローブ帯をもつ川をウボカーラと呼んでいる。村跡の西の浜をイドゥマリと呼び,その北側のサンゴ礁の切れ込みはイドゥマリフチ(口)という。イドゥマリフチの西にはヌバンフチというもう1つの湾入があり,与那国島に向かっているのでユノーンフチ(与那国津口)ともいった。乾隆20年(1755)に新設された崎山村がこの地を選んだのは,これらの良港があったためという(節歌補遺16・ユンタ31/歌謡大成Ⅳ)。旧崎山村の真向かいに赤い岩でできた小島があり,アハイシと呼ばれている。崎山村の毎年の節祭には,村からこの島を回って帰って来るコースで爬竜船漕ぎの競争をしたという。湾の中央に大きなラグーンがありザアヌクムリという名前をもっている。これはこのラグーンにザア(ジュゴン)がよくいたから付けられた名前であるという。集落からの生活廃水がないためか,崎山湾のサンゴ礁は見事なもので,東洋一の大きさをもつというサンゴの一種の群体がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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