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佐良浜
【さらはま】


伊良部(いらぶ)町北東海岸の通称名。方言でもサラハマという。前里添・池間添にまたがる集落を指す。集落の立地する場所は,標高10~70mの急崖の連続する伊良部島北東海岸の中では比較的傾斜は緩やかだが,集落の立地場所としては勾配は急である。集落の北東側は,パナムツトゥガイと呼ばれる単調な海岸線で,一部緩やかに弧を描いて突出したところがある。この突出部の北側付け根の標高約70m以上ある急崖の下には,昭和41年に上水道が整備されるまで重要な水源地であったサバウツガー(鯖沖井)という湧泉がある。石灰質・塩分を含む水であったが,水のない佐良浜では唯一の地下水で,女性たちは朝井戸といって午前3時頃から水くみに励んだといわれる。集落周辺の海岸には,幅50~200mのサンゴ礁が発達している。小石でざらざらした浜辺(サラハマ)が地名の由来(伊良部村史)。佐良浜は古くから伊良部島の北北東約10kmにある池間島(平良(ひらら)市)からの出作りや漁師の休憩場所として利用されていた。18世紀に鯖沖井が発見されて以来本格的な開発が進められ,康煕59年(1720)に池間島からの強制移住14戸を中心に集落を形成した。明治42年12月には家屋163戸を焼失した大火が発生。同年からカツオ漁が本格的に行われるようになり,昭和初期にはパラオ方面へも出漁した。また昭和10年には,池間島の北にある八重干瀬での漁業権に関して池間との間に争いが生じた。沖縄戦によって漁業も大きな被害を受けたが,戦後はアメリカのガリオア資金(占領地域統治救済資金)によって再興された。同45年以降は,パプア・ニューギニア海域を中心にカツオ漁が行われている。集落景観は,コンクリート建てが顕著で,道路網は井然とせず,幹線道路を除いては狭い道路が多い。近年集落は西へ拡大しつつある。集落の中心である佐良浜漁港はカーラヒダともいわれ,昭和48年以降港の拡張整備が進められ,同58年には岩壁283m,物揚場310m,防波堤940mとなった。宮古島の平良(ひらら)港との間に,1日13回の連絡船がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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