100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

三山
【さんざん】


旧国名:琉球

(古代~中世)三山鼎立時代の広域地名。14世紀初頭から15世紀前半にかけて,沖縄本島を三分して対立した北山(ほくざん)・中山(ちゆうざん)・南山(なんざん)の総称。近世に編纂された「中山世鑑」「中山世譜」などの正史は,琉球は有史以来統一王統によって統治されてきたが,英祖王統玉城王代の延祐年間(1314~20)に至って国政が乱れ,今帰仁按司が越来(ごえく)・読谷山(ゆんたんざ)より北の地を擁して北山を,大里按司が西原・南風原(はえばる)・真和志(まわし)より南の地を擁して南山をそれぞれ樹立したため,統一王統は崩壊し,中山の勢力範囲も限定されるようになったという。しかし,現在では,三山ともに諸按司の抗争の渦中から形成された小国家であるとする見方が有力である。三山についての記録は,同時代の史料である中国の「明実録」に見える。洪武5年(1372)中山王察度が,明の太祖洪武帝の詔諭に応じ,泰期を遣わして方物を貢じたのが初見である。以後「明実録」には,中山王察度の名による入貢記事が頻出する。「明実録」はまた,同13年に南山王承察度が,同16年には北山王帕尼芝が入貢したことを記し,これにより14世紀末の琉球に三山が成立していたことが確認できる。三山は,対中国関係を独自にもちながら,その後も対立・協調を繰り返していたと考えられる。やがて佐敷から興った尚巴志によって,永楽4年(1406)中山王武寧が,同14年北山王攀安知が,宣徳4年(1429)南山王他魯毎が亡ぼされ,第一尚氏王統による統一王国琉球国が樹立された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240660