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田嘉里川
【たかざとがわ】


沖縄本島北部,大宜味(おおぎみ)村を流れる2級河川。地元では屋嘉比川(方言ではヤハビガー)という。河川延長7.8km・流域面積8.91km(^2)。赤俣山の南に連なる山地に源を発し,田嘉里の屋嘉比地域を経て野国・親田・見里などの集落の北を流れ,東シナ海に注ぐ。かつての河口は,現在の河口から1km以上内陸に入った根謝銘(ねじやめ)城の東麓の屋嘉比集落付近にあった。当時,屋嘉比の港には沖縄本島周辺各地,さらに奄美諸島(鹿児島県)との交易船が盛んに出入りしていた。往古から港として繁栄したらしいことは,「おもろさうし」巻13-176,No.921からもうかがわれる(国頭村史)。大正期には山原(やんばる)船が停泊し,薪炭および木材を積み出していた(国頭郡志)。のち,屋嘉比港北岸の国頭(くにがみ)村字浜の方に砂州ができ,やがて港全体に土砂が堆積して広大な湿地帯となった。この地域は長年かかって田畑や宅地として造成され,中心部のみが川として残り,湾口は極端に狭められた。現在は20mほどの屋嘉比橋が架かり国道58号が通る。橋の近くはまだ広い湿地帯があり,マングローブ林となっている。下流域の田畑は田嘉里地区土地改良事業に伴い整備が進んでいる。上流部の水立て川は,現在も屋嘉比の水源となっている。屋嘉比村の水利について「球陽」に雍正12年(1734)「屋嘉比邑耕作当宮城,新に其の井水を造る」とあり,その事情が記されている(尚敬王22年条)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240926