田原川
【たばるがわ】

与那国島北東部を流れる河川。方言ではダブルカという。宇良部岳の山麓の各地から湧出した泉に源を発し，北西に流れて祖納(そない)港（波多港）に注ぐ。流路は約1,500mといわれ，現在農業用水に利用されている。かつて田原川一帯は水が豊富で，タブルミンタ（田原水田）と呼ばれる豊かな稲作地帯であった。今では農地造成事業によりサトウキビ畑にかわった。明治22年に当時の与那国与人大浜当行がガランビフイ（新川尻開削）の土木工事を行った。海水流入を防止し，大いに田原一帯の農業発展に貢献したという石碑が，十山橋近くの川畔にたっている。田原川の上流では村の人々の生活用水としても使用された。上流域にはフカノキ・モクタチバナ・ヤブニッケイなどの樹木が繁茂し，ヨナグニサン・トンボ・チョウなどの繁殖地でもある。特にシロミスジほか10種の台湾産のチョウ類が生息する地としても知られる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7240981