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通り池
【とおりいけ】


下地(しもじ)島北西の海岸近くにある池。伊良部(いらぶ)町佐和田に位置する。方言ではトゥーイグーという。琉球石灰岩に形成された,ほぼ円形の2つの池からなる。北の池は直径約55m,南の池は直径約75m。成因は,鍾乳洞の天井の部分が2か所で崩壊し,ドリーネとなったもの。水面から地表面までの高さは15m前後で,池の周辺の地形は,比較的起伏に富んでいる。2つの池を結ぶ約22.5mのいわゆる天然橋は崩落を免れた鍾乳洞の天井部に当たる。北の池は水深40m,南の池は水深50mで,透明度は約20mである。海側の南の池は,沈水洞穴で海と連結しており,潮の干満に応じて水面も上下する。池周辺の海岸は,15m前後の急崖からなり,サンゴ礁は発達していない。通り池については,ヨナイタマ(人魚)伝説と継子伝説がある。ヨナイタマ伝説は次のように伝える。かつて池の近くに木泊り村という集落があり,その村の漁師がヨナイタマを釣り上げた。そのため海神のたたりを受け,津波によって村は消滅し,集落跡に2つの池ができた。海側の池がヨナイタマを釣り上げた漁師の屋敷跡で,内陸側の池が災難を免れた親子の屋敷跡だという。一方,継子伝説は,ある母親が継子を池へ投げ込むつもりが,間違えてわが子を投げ込んでしまい,自分も後を追って池へ飛び込み死んだという伝説である(伊良部村史)。昭和49年県天然記念物となる。伊良部町における代表的な観光地でもあり,池へ通じる道路も整備されている。池の東方には,昭和54年に完成したわが国唯一のパイロット訓練飛行場がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241127