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通路川
【とおろがわ】


石垣島東部を流れる河川。方言ではトゥーリィカーラ・トゥールカーラという。ホウラ岳に源を発して東流し,石垣市桃里の星野集落の南で太平洋に注ぐ。河川延長3.6km・流域面積4.56km(^2)。上流から中流域にかけて古生代トムル層の結晶片岩類,下流域には第三紀宮良層の石灰岩が分布する。方言のトゥーリィは灯火のことで,河川名は昔,橋のない頃,夜は灯火をつけて渡ったことにちなむと伝えられる。「大波之時各村之形行書」の桃里村の項によれば,乾隆36年(1771)の明和の大津波以前に番所より亥の方19町11間のところに長さ25間の石橋があって,石垣島東海岸の重要な宿道に当たり,往来が多く,夜も安心して渡ることができた。しかし,津波により破壊されてからは,人馬の往来に窮したため,同40年屋嘉部親雲上在番の時に,当分の間,丸木橋が架け渡されたという。「八重山嶋由来記」では渡里と記されている(竹原家文書)。河口の北岸約500mの国道390号沿いにある星野集落は,昭和25年に沖縄本島の玉城(たまぐすく)村や大宜味(おおぎみ)村,宮古島の城辺(ぐすくべ)町からの開拓移住によって成立した。集落の西方約500mには,第三紀宮良層の石灰岩からなる大マンゲー山・小マンゲー山がある。両山は溶食作用で形成された円錐カルスト丘をなし,地質構造が特異なため,昭和57年市天然記念物に指定されている。大マンゲー山の東側すそ野には,マンゲー山遺跡群があり,八重山式土器・青磁・勾玉などが採集されている。大マンゲー山中腹の洞穴は大和墓(屋島墓)と呼ばれ,壇ノ浦の合戦で敗れた平家の落武者が通路川河口から上陸し,マンゲー山にたどり着いたという伝説がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241128