100辞書・辞典一括検索

JLogos

25

渡名喜島
【となきじま】


沖縄本島那覇(なは)市の北西約58km,慶良間(けらま)諸島の北方に位置する島。村役場の位置はおよそ北緯26°22′,東経127°08′。渡名喜村の主島。バーニーの海図にはトゥナチ(Tunachi)と見え,夏子陽「使琉球録」の琉球過海図には土那奇,「指南広義」の琉球三十六島図には度那奇と見える。また,「中山伝信録」「琉球国志略」に「度那奇,訳して渡名喜島という。姑米山に近し。山に牛多し」とある。面積3.53km(^2)・周囲11.99km,最高標高は大岳の179m。海岸線は岩石海岸で小さな屈曲が多い。地形・地質上から2つの地域に区分することができる。北部地域は西森といわれ,火山性の岩石で構成された丘陵地で,狭小な地域に種々の鉱物があり,鉱石の種類は沖縄で最も多いという。北端にある標高146mの西森はヤギの牧場となっている。南部地域は古生代石灰岩で構成され,急傾斜の山地が海岸まで迫り,海岸は険しい断崖になっている。特に南側は標高178.4mの地点から断崖が海に迫っている。山地は良質のドロマイトを含有し,採掘計画を立てた企業もあったが,その都度島民の反対にあって挫折している。この南北2つの山地は低平な砂質地帯で結ばれ,1島をなしているため,洋上から望むと2島に見え,渡名喜のオタカベには「ターマタ(二股)」と謡われている。低平な浜堤上に島唯一の集落がある。集落の西に県管理第1種漁港渡名喜漁港があり,那覇港泊埠頭と渡名喜および久米島の真泊(仲里村)を結ぶフェリーなはが月15便就航する。那覇港まで2時間,真泊まで1時間を要する。港への水路はリーフを割って造られたもので狭く危険なため,海が荒れるとフェリーは寄港せず,外界との交通は断たれる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241152