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仲伊保島
【なかいほじま】


沖縄本島南部,糸満(いとまん)市潮平の西方約1.1kmの東シナ海上に位置した無人島。現在は埋立地の中に含まれている。方言ではイーフ・シノージといい,砂地を意味する。「島尻郡誌」では伊保島とする。糸満市南西端の喜屋武(きやん)岬から延びる裾礁の礁湖内にあり,島全体が砂地で構成されている。面積0.46km(^2)・最高標高2m。伊保(イーフ)は砂が堆積する場所または沖積層を意味するとも(南島風土記),川が運んでくる砂を意味するとも(地名の話),または小石まじりの砂で川の氾濫によって押し流されてくるものを意味するともいい(奄美の民俗),したがって仲伊保は州または中州のような意味をもつ地名と考えられる。類似する地名には佐敷町仲伊保・鹿児島県名瀬市伊府などがある。沖縄本島南部西海岸,豊見城(とみぐすく)村与根から仲伊保島にかけての遠浅な海岸は,スズカタバル(珠数潟原)と呼ばれたという(南島風土記)。仲伊保島は糸満市の具志堅氏の所有地であったといわれ,第2次大戦前まではアダンの防潮林があり,島内部には耕作地が開け,与根の人が小作してスイカ・サツマイモ・ダイコンなどを栽培したといわれる。戦後の建設ブーム時には砂採取の対象にされ,干潮時には砂を満載した大型トラックが海中を行き交った。その後に県が不発弾処理場を建設し,それに伴い不発弾を運ぶ海中道路を造ったため陸つづきとなった。その後不発弾処理場は嘉手納(かでな)基地内に移され,仲伊保島周辺では糸満市の第四次公有水面埋立事業が進み,広大な干潟は消え,島は埋立地に囲まれてしまった。旧暦3月3日の浜下りに潮干狩りでにぎわいをみせた遠浅の干潟の面影は全くない。代わって埋立地には高層アパート群や水産団地が建設され,市街地の一部になろうとしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241190