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中城湾
【なかぐすくわん】


沖縄本島中部の東海岸にある湾。北は勝連(かつれん)半島,南は知念半島に囲まれ,湾口には北東から南西に津堅島,ウガン岩(岩礁),久高島が並ぶ。方言ではナカグシクワンという。元禄9年琉球国絵図は「浦」とのみ記す。「ペリー訪問記」の沖縄本島地図にマッシュウズ湾(Matthews Bay)と見える。沖縄戦で,日本軍はチュウジョウワン,米軍は戦死した第10軍指揮官の名をとってバックナー湾(Buckner Bay)と名付けた。湾域は海洋周辺距離50km・海面積約2万4,000haで,水深は10~50mと比較的浅い。中城湾は,かつて湾全体を覆う沖縄本島中・南部に連なる中城ドームが陥没して形成されたといい,湾岸周辺の急崖も,中城ドームの陥没によってできたという。外口を囲むサンゴ礁が防波堤の役目を果たし,波静かな湾とその後背地をなす知念半島から勝連半島へ続く山並みの眺めは雄大で,景勝の地として知られ,これを詠んだ歌も多い。中城湾港は,昭和45年に地方港湾に指定され,同49年の沖縄振興開発計画では流通港湾として位置づけられて重要港湾に指定された。同50年7月には,中城湾港開発基本計画が策定され,流通機能の整備,地場産業の振興を図る目的で沖縄市泡瀬を中心に海面300haを埋め立てて造成し,新港を建設して建設関連工業団地として整備される計画である。中城湾北部一帯は,第2次沖縄振興開発計画の集中する地域で,沿岸の中城村・西原町に石油産業,具志川市・西原町に製糖工場があり,中小企業の進出も目立っている。海上自衛隊によるシーレーン防衛拠点として中城湾自衛隊泊地構想も具体的に打ち出されている。湾内では,佐敷町漁協・中城村漁協を中心に,小規模ながら沿岸漁業が営まれている。湾内に突き出た奥武(おう)岬は,昭和62年に開催される第42回国民体育大会の主会場に決定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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