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仲之御嶽島
【なかのうがんじま】


西表(いりおもて)島の南西海上に位置する無人島。八重山諸島の1島。竹富(たけとみ)町に属す。方言ではナニワン・ナリワンという。仲御神島・仲ノ神島とも書かれる。ブロートンの海図などではハンモック島(Hummock Island)と見え,「サマラン号の航海記」では波照間(はてるま)島と並べてハンモックおよびサンド島(Hummock and Sand Islands)とあり,無人の大きな岩塊であるとしている。またペリーの海図に見えるチュンチまたはチュングチ(Chungchi)と名付けられた岩礁は仲之御嶽島を指すと思われる。面積0.35km(^2)・周囲4.18km・最高標高102m。島の中央部の位置はおよそ北緯24°11′,東経123°34′。荒海に囲まれた砂岩の岩山には木も生えておらず,全周が切り立った崖になっていて,近寄り難い印象を与える。カツオドリ・オオミズナギドリ・セグロアジサシ・クロアジサシが繁殖し,その他の海鳥もきわめて多い。これらの海鳥は西表島の方言でナニワングーグー(鳥)と総称されている。「八重山語彙」にはナカヌオンと記されている。この島を西表島南西部の旧崎山村ではナリワンと呼んでいたが,この地名には流れ御神という意味があるという。地元の伝承によると,昔,崎山の南の海岸に面した急傾斜地にあったビラドーという村で,何日も大雨が続いたある日,沖から島が漂ってくるのを1人の男が見つけた。驚いた男が大声をあげて他の村人を呼んだところ,流れ島はその場で止まってしまった。ビラドー村の人々は南の海から神様が流れて来られたのだと信じて,この島にナーリウガンと名付けた。これがのちにナリワンと発音されるようになったという。尖閣諸島での鰹節製造業で名高い古賀辰四郎は,明治19年にこの島を借地し,羽毛と鳥のふんの採集事業を興して,大正中期まで断続的に事業を行った。第2次大戦前まで西表島の人々はくり舟を漕いでこの島に出かけ,島の東端のニシバリ(西割)に舟を着け,中央部のナカムリ(中森)に登って鳥の卵を採集して持ち帰り,食用にしていた。西表島の崎山のヌバンの浜にはこの島への航海安全を願う拝所があった。現在は全島が仲の神島海鳥繁殖地として国天然記念物に指定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241249