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仲間川
【なかまがわ】


西表(いりおもて)島南部を流れる河川。方言ではナカマガーラという。河川延長13.50km・流域面積28.41km(^2)で,西表島では浦内川に次いで大きい川である。河口から上流5.5kmは,2級河川の指定を受けている。竹富(たけとみ)町南風見(はいみ)の中央部を東流し,西表島南東部で海に注ぐ。河川名は明治中期まで河口左岸にあった仲間村に由来するものか。上流へは舟で10kmもさかのぼることができる。明治17年頃に西表島を踏査した田代安定は,「西表嶋仲間村巡検統計誌」において仲間川について「浦田川,別名,前川」と記録している。ウラダは西表島西部の浦内川方言名の1つであり,西表島の東部と西部でそれぞれ最大の川が同じ方言名称をもっていたという可能性を示す資料であろう。河口には小島があり,カラスが多かったことからガラサー森と俗称されているが,方言ではパツァイと呼んでいる。河口から約5km上流までマングローブ林に覆われ,6種類のマングローブ植物が108haにわたって広がる。マングローブ帯と山地斜面との移行帯は,150mに及ぶサガリバナ群落となっている。このような植物群落はきわめて貴重であるため,仲間川流域一帯は仲間川天然保護区域として国天然記念物に指定されている。また上流約4kmの左岸の山手にはウブンドルのヤエヤマヤシ群落があり,国天然記念物となっている。この場所は新城(あらぐすく)島の方言ではウブンドゥリィと呼ばれる。流域には新城島からの通い耕作による水田が多く分布していて,新城島出身の人々はこの川のことをナーメカーラまたはナハメカーラと呼び,また上流で渓流に移行するところをヤーラヌカンと呼んでいる。仲間川河口の右岸にあった新城の水田はウバルダ(大原田)と総称されているが,パイッシィタダレー・ハティル・ナハディル・ウスリィ・スーダ・ナハユニなどの水田地名を含んでいる。仲間川流域は沖縄戦前には材木を切り出す場所として利用され,下流左岸に流入する支流のニシィフナツキガーラ(西船付川)には,石垣島や新城島からの帆船が着き,北側の山地から建材や薪を切り出してきた。現在の仲間川は西表島西部の浦内川と並んで,「日本のアマゾン」というキャッチフレーズで八重山の観光名所の1つとなっており,不定期の遊覧船が川を溯航する。河口には左岸に竹富町南風見仲(はいみなか)の大富集落,右岸に南風見の大原集落があり,両集落は仲間橋で結ばれている。また大原には西表島東部の玄関口大原港があり,石垣島・小浜島・黒島との間を結ぶ定期船が発着する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241263