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仲良川
【なからがわ】


西表(いりおもて)島西部を流れる河川。方言では下流部をナーラミナトゥ,上流部をナーラカーラという。河川延長8.75km・流域面積23.85km(^2)で,河口から5.5kmは2級河川の指定を受けている。竹富(たけとみ)町西表の南部を北西流する。河口付近のマングローブ帯は約34haあり,8km上流まで船で航行ができる。河口付近右岸でトゥドゥルシ川・アダナデ川の2支流が流入する。「八重山嶋由来記」には名嘉良川原とある(竹原家文書)。川沿いの氾濫原には広大な湿地が分布しているが,これは沖縄戦前の祖納(そない)集落の水田跡である。下流から上流にかけて右岸にはピナキ・マラナ・ケーダ・キンニバリ・カンダ・フーシ,左岸にはドーラ・シムチ・ヤマッツァ・サラミチ・ムトゥグチ・ウタルなどの水田地名が残っている。これらの水田地帯は仲良田と総称され,西表島で最も豊かな収穫を約束された水田として西表島西部に伝わる古謡「仲良田節」にも謡われている(八重山島歌節寄12/歌謡大成Ⅳ)。昭和初期に蓬莱米と呼ばれる稲の新品種と化学肥料が導入されてからは他の水田の収穫も安定した。そのため胸まで沈むような深田も多かった仲良田は昭和19年の大水害のあとすべて放棄されてしまった。現在の利用は,かつて水田の縁に植えた竹垣のタケノコを取りに行く程度である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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