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名蔵川
【なぐらがわ】


石垣島西部を流れる河川。方言ではノーラガーラというが,古くはノーラフーカーラ・ウーガーと称した。河川延長8.04km・流域面積16.14km(^2)で,河口から7.5kmが2級河川の指定区間。石垣島内では宮良川に次いで長い。於茂登(おもと)岳南麓に源を発し,石垣市平得(ひらえ)・登野城(とのしろ)北部を西流したのち,同市名蔵南部で名蔵湾に注ぐ。上流域は石垣市の上水道の水源地にもなり,稲作地帯として知られた。また近年はウナギの養殖も行われている。下流域の神田橋の東方,県道石垣浅田線沿いの微高地に八重山考古編年第Ⅱ期に属する大田原遺跡があり,その南の低地には同第Ⅰ期に属する無土器の神田貝塚がある(県文化財調査報告書22)。河口には河口をふさぐように南から約1.3kmにわたる細長い砂州がのびており,川はこの砂州の北と南に分流して名蔵湾に注ぐ。この砂州によって河口には潟湖・湿地が形成され,シギ・チドリ・シラサギ・ガンなどの渡り鳥が多く,鳥類保護地域に指定されている。河口付近はオヒルギ・メヒルギ・ヒルギモドキ・ヒルギダマシ・シマシラキ・ヤエヤマヒルギなどのマングローブ林が発達している。砂州の北側には名蔵大橋,南側には名蔵小橋が架かっている。最初の橋は昭和19年に着工されたが,第2次大戦の戦況の悪化により工事は中断され,昭和25年に米民政府の援助でようやく完成した。それ以前は人馬は潮の干満を見計らって往来していた。大橋は昭和38年鉄筋コンクリート橋となり,同59年に架け替えられた。小橋付近はアンパルミジュ(網張湊)と呼ばれ,多種多数のカニが生息することで知られる。古謡「網張の目高蟹ゆんた」は,網張にすむ数種のカニの生態を生き生きと謡ったもので,今日でも謡い継がれている(ユンタ66/歌謡大成Ⅳ)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241292