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ばてんはま
【ばてんはま】


「おもろさうし」に見える浜の名。佐敷町の仲伊保から津波古に至る湾入が馬天港で,その海浜を馬天浜と称する(南島風土記)。「ばてん」の謡われたオモロは3首で,「ばてんのろ(馬天ノロ)」の用例もある。「由来記」には佐敷間切新里村に上バテンノ嶽・下バテンノ嶽・バテンノ殿などバテンの呼称が見えている。馬天浜は国王の久高行幸時や聞得大君の御新下り(就任儀礼)時に儀礼の行われた重要な地であった。巻10-4,No.514には次のように謡われている。(前節略)又大きみの めしよわちへ(大君〈神女〉が召し給いて)又くにもりきや めしよわちへ(国守〈神女〉が召し給いて)又よなはばま おれわちへ(与那覇浜に降り給いて)又ばてんはま おれわちへ(馬天浜に降り給いて)又浦まわり めしよわちへ(浦廻り〈船〉を召し給いて)又さきまわり めしよわちへ(崎廻り〈船〉を召し給いて)又あかるいに あよみわ(東方に歩み給う)又てたかあなに あよみわ(太陽の穴に歩み給う)王府儀礼のオモロで,知念久高島行幸の時に斎場(さいは)御嶽の御桟敷にて謡ったという,長いオモロの後半である。前半には,斎場御嶽で白馬に立派な鞍や鞦・鞅・腹帯などを置き整える様子を謡い,後半はその馬を神女がお召しになって,与那覇浜に,馬天浜に降りたまいて,浦回り船に,崎回り船にお乗りになって,東方に,太陽の穴に向かって,船漕ぎしたまう,と謡ったものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241441