比謝川
【ひじゃがわ】

沖縄本島中部を流れる２級河川。「ペリー訪問記」ではフィージャ(Fi-ija)と見える。本島最大の流域面積をもつ河川で，河川延長17.55km・流域面積49.66km(^2)。沖縄市胡屋(ごや)の丘陵地帯に源を発し，蛇行しつつ北流し，カブンジャ川を合流後，西へ曲折し，同市北西部の大工廻(だくじやく)付近から小峡谷を形成し諸支流を合わせ，嘉手納(かでな)町北部から，嘉手納町・読谷(よみたん)村の境界を西流して，東シナ海に注ぐ。上流で，沖縄市北西部を南流する与那原(よなばる)川（２級河川，河川延長5.2km・流域面積8.79km(^2)）を，沖縄市・嘉手納町の境界付近で南流する平山川を，下流で読谷村東部を南流する長田川（河川延長5.35km・流域面積11.35km(^2)）を合流する。流域の大半は米軍基地に接収されているが，上流域は沖縄市市街地，下流域は農地や宅地に利用され，返還された地域も宅地造成などが行われている。与那原川上流には瑞慶山ダムがあり，比謝川総合開発事業の中で，多目的ダムとして再開発が進められている。下流には古来著名な比謝橋が架かり，現在，国道58号が通過する。河口には第１種漁港嘉手納漁港がある。比謝川の河畔は古くから景勝の地で，「ペリー訪問記」では，閑静さと絵のような美しさが人の注意をひくほどであったとあり，現在嘉手納町屋良の屋良城跡公園より下流の左岸沿いに1.15kmの遊歩道が設けられている。上流の嘉手納町屋良には屋良無漏渓がある。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7241523