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辺野古川
【へのこがわ】


沖縄本島北部を流れる河川。河川延長4.23km・流域面積3.56km(^2)。辺野古岳南麓に源を発し,名護市辺野古西部,標高100m以下の海岸段丘の丘陵の間を南東流して太平洋に注ぐ。地元では古くからメーダガー(前田川)と称している。カーヌクァ・ナキナガー・タマタガーなどの支流が合流して辺野古集落の西側を流れる。流域一帯の地質は嘉陽層が卓越する。中流域に大正5~6年の鉱山ブームの時の鉄鉱石の試掘坑が残り,第2次大戦中は避難壕として利用された。流域の丘陵から低地にかけての一帯は明治期に造成された杉の植林地の通称スギシキが地名になっている。下流域から河口付近では,かつてウナギ・エビ・ボラ・カニなどが採れ,水浴の場でもあった。河口付近のマングローブ群落からなる湿地帯も子供や女性の貝採りやササ入れ(漁法)による漁場であった。流域の辺野古岳山麓一帯では建築材・薪炭の搬出が盛んに行われ,河口から山原(やんばる)船で出荷されたもので,この風景は大戦後まで見られた。昭和32年の米軍による土地収用,キャンプ・シュワーブ基地の建設,国道329号の開通などは下流域の景観を大きく変貌させた。河口一帯は埋められ,マングローブ群落は消失し,魚介類は死滅した。水田地帯も埋め立てられ,現在は住宅地となっている。上流域における米軍演習などによる赤土流出のため,環境汚染や流水量の減少が見られ,流路や河床埋積の変化が著しい。河口には第2種漁港辺野古漁港があるが,現在第1種漁港の建設と河川改修工事が進行中である。左岸前方海中にあるトゥングァまで突堤が築かれている。水産庁による局部改良事業として岩壁工事,港内の浚渫工事が予定されているが,予定航路が米軍の海上演習海域内を通過せねばならず,目下調整が行われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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