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外離島
【ほかばなりじま】


西表(いりおもて)島西海岸,竹富(たけとみ)町西表の白浜港の北西海上約3kmに位置する無人島。八重山諸島の1島。竹富町西表に属す。方言ではフカパナリといい,祖納(そない)集落ではパネーともいう。面積は1.37km(^2)・周囲5.89km・最高標高149.0m。非常に険しい海岸線をもち,雑木とススキに覆われている。島名は外側の離れ島を意味し,内離(うちばなり)島と対になっている。「慶来慶田城由来記」によれば,15世紀の八重山地方の群雄の一人であった慶来慶田城用緒は,祖納に住む以前には外離島の野底辻というところに住んだと伝えられている。これはヌスクティチ(頂)であり,島の北東隅のヌスク崎の上の要害の地を指しているものと思われる。西側の高地をバンヤ(番屋)と呼び,王府時代には狼煙によって通信を交わすところである遠見番屋(火番盛ともいう)が作られていた。外離島にはウタ・ムタなどの祖納村の水田があり,傾斜地もすべてサツマイモや粟の畑にされていた。祖納に伝わる古謡「仲良田節」はここでできる粟の実りをたたえて離頂の粟と謡っている(八重山島歌節寄12/歌謡大成Ⅳ)。その粟は祖納村を守護する神に奉納する神酒を造る神聖なものであった。「西表口説」では,内離島・外離島を「はなりばなり」と称し,西表島から船が往来する様子を謡っている(口説歌謡6/同前)。現在は島の東側のサンゴ礁で夏場にツノマタという海草が採集され,西表島西部の人々の大切な現金収入源になっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241664