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牧港テラブのガマ
【まきみなとてらぶのがま】


沖縄本島中部,浦添(うらそえ)市牧港にある洞穴。方言ではティランガマという。琉球石灰岩の自然洞穴で,広さは約30m(^2),床面には砂利が敷きつめられている。天井には若干の鍾乳石が見られる。中央部の奥には拝壇があり,線香を焼いた跡がある。参拝者が時折訪れる拝所となっているが,拝所自体は最近つくられたものである。伝説によれば,乾道2年(1166)源為朝が今帰仁(なきじん)の運天港に漂着し,佐敷の大里按司の妹を妻に迎え,尊敦をもうけた。しかし,為朝は牧港から出帆し,残された妻子はいつまでもこの洞穴で為朝を待ちわびた。以来この地はマチナト(待港)と呼ばれるようになったという。尊敦はのちに浦添城に居城を構えた舜天王である(球陽舜天王条)。昭和57年「浦添市史」編纂のための民俗聞取り調査で,かつて牧港村のウマチャや旧暦の大晦日にこの洞穴を拝したことがわかった。そのことから「由来記」にある牧港之殿が洞穴の前庭であったこともわかり,また牧港の御嶽であることもわかった。現在は周辺にスーパー・飲食店・工場などが立ち並び昔の面影はない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241728