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宮良川
【みやらがわ】


石垣島南部を流れる河川。方言ではメーラカーラという。古くはメーラバガー・メーラウーガーとも称した。メーラバガーはメーラガハが転じた呼び名という。河川延長13.28km・流域面積35.4km(^2)で,石垣島における最大河川。河口から11.5kmは2級河川に指定されている。於茂登(おもと)岳東麓に源を発して南流し,石垣市真栄里(まえざと)・大浜を南流し,同市宮良で宮良湾に注ぐ。上流で桴海於茂登(ふかいおもと)岳とホウラ岳の間に源を発して南流する底原川(河川延長4.35km・流域面積12.53km(^2))を合わせる。山地部を除くと上流から河口までは非常に緩やかな流れで,河口から約3kmさかのぼった赤下橋付近まで感潮する。中流域にある石垣市平得(ひらえ)の開南集落付近の低地には海砂の堆積が見られる。また河口から約5km上流にある県道新川白保線が通る川原橋の架橋工事の際,河床下3mの土砂の中から埋没した赤木が発見された。この河床に堆積した土砂は,乾隆36年(1771)の明和の大津波で運ばれたものとする説もある。この大津波は宮良湾から濫入し,宮良川沿いの低地を北西に掃討し,開南で,白保村の轟川方向から打ち寄せた津波と合流して名蔵湾へ流れ込んだといわれる。宮良川河口部の裾礁上に散在する多数のサンゴ礁は,この大津波で打ち上げられたものである。昭和46年の八重山地方を襲った旱魃を契機として,同50年から宮良川土地改良事業が実施され,石垣市真栄里の於茂登集落北側の上流域には,同57年度に真栄里ダム(総貯水量230万t)が完成,その東方約1kmの底原川の流域では,大浜と宮良にまたがって昭和65年完成予定の底原ダム(総貯水量1,300万t)を建設中である。いずれも石垣島中央部以南に広がる耕地の灌漑を主な目的とする重要な水源である。また,平喜名堰や揚水機場・幹線用水路などの施設が整備され,関連事業として灌漑施設・圃場などの整備も行われ,機械化農業の実現を目指している。中流から下流域にかけてはパイナップル・サトウキビ・水稲などが栽培され,石垣島における重要な農業地域となっている。下流域には約4haにわたってヤエヤマヒルギ・オヒルギなどの群落からなるマングローブ林が発達し,宮良川のヒルギ林として国天然記念物になっている。河口から約500m上流には国道390号が通る宮良橋がある。ここに最初に橋が架けられたのは順治15年(1658)で,それ以前は渡舟を利用していた。そのため,宮良では宮良川をバダレー(渡るの意)と呼んでいる。河口左岸の沖積低地には宮良遺跡群があり,その北東側の琉球石灰岩の台地(標高約20m)上には宮良集落がある。現在の集落は明和の大津波後に再建されたもので,旧村落は南側の崖下の低地にあったが,大津波で全村壊滅したため,北西方約2kmの宮良川左岸の漢田地区に小浜島から男女320人の寄百姓を加えて村立てをし,その後,現在地に移転した。




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「角川日本地名大辞典」
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