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宮良湾
【みやらわん】


石垣島の南東海岸,宮良川河口に開ける湾。方言ではメーラワンという。堡礁に取り巻かれるが,宮良川河口の沖合いには大きな切れ目があり,舟の出入口となっている。湾奥部には多くの琉球石灰岩の巨石が散在し,干潟化も進んでいる。これらの巨石は乾隆36年(1771)に宮良湾を中心に石垣島を襲った明和の大津波で運ばれたものである。湾口東岸の琉球石灰岩の台地上には宮良,西岸には大浜,湾奥には磯辺の各集落がある。湾岸は琉球石灰岩が分布し,南側の磯辺集落の海岸は浅瀬で裾礁が発達し,干潮時には岩礁原となる。大浜集落北方の沖積低地にはフウスク村やカンドゥ村跡の遺跡がある。その西側の琉球石灰岩の台地上にはフルスト原遺跡があり,オヤケ・アカハチの居館址といわれ,昭和53年に国史跡に指定された(県文化財調査報告書22)。道光23年(1843)にイギリスの軍艦サマラン号が宮良湾に入港しているが,八重山在番から首里王府へ提出した報告書には,今月(12月)10日四ツ時大浜村より卯辰の方向3里程沖に白帆の珍しい船が1艘姿を見せ宮良の津口(港)へ向かうと記されている(南島1)。サマラン号は21日間石垣島に滞在し,測量その他の調査を行っている。その後も2回石垣島に立ち寄り,ベルチャー艦長は航海日記で,島の様子や風俗を詳しく書き記している(サマラン号の航海記)。なお,ペリーは宮良湾のことをブロートン湾(Broughton Bay)と記している(ペリー訪問記)。宮良川河口の湾奥部は,国天然記念物のヒルギ林が生い茂り,台風時の小型漁船の避難場所として利用される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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