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山原
【やんばる】


旧国名:琉球

(近世~近代)王府時代~現在の沖縄本島北部地方とその周辺離島の別称。三山鼎立時代の北山(ほくざん)の地域にほぼ相当し,現在の自治体では北から国頭(くにがみ)村・大宜味(おおぎみ)村・東村・名護市・今帰仁(なきじん)村・本部(もとぶ)町・宜野座(ぎのざ)村・恩納(おんな)村・金武(きん)町と,離島の伊江村・伊平屋(いへや)村・伊是名(いぜな)村からなる。近世中期の文書に山原船などの形で見える。首里・那覇(なは)からは僻遠の地にあり,国頭山地を脊梁として山岳の多い山国であることから,首里・那覇の人々はヤンバラー(山原人)と蔑称に近い用い方をした時代もあった。しかし,現在では通称として好んで用いられ,またヤンバルクイナ・ヤンバルテナガコガネやヤンバルアカメガシワなど動植物名としても用いられている。山岳が多いため,古くから木材の供給地として有名で,首里・那覇へ供給される薪木はヤンバルタムン(山原薪木),それを運ぶ船を山原船と称した。近世には,サトウキビの作付けを許されたのは金武・今帰仁・本部の3間切と伊江島だけであった。一方低地を中心に稲作も盛んに行われた。山間部の多くは,米軍の演習場として接収され,自然破壊が進んでいる。一方,沖縄には珍しく河川の発達が著しく,沖縄本島中・南部地域の水がめとして,多くのダムが建設されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241990